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在校生

【国際キャリアコース】ハワイとのオンライン特別授業を実施

海の上の学校「ホクレア号」~内野加奈子さんオンライン講演会~

6月30日(水)に1~3年生の国際キャリアコースのクラスを対象に、内野加奈子さんの講演会をハワイからオンラインで実施していただきました。
内野さんは、海図やコンパスを使わずに、自然の知恵を頼りに航海する伝統航海カヌー「ホクレア号」の日本人初クルーです。
国際キャリアコースでは、「コミュニケーション英語Ⅰ」の教科書『CROWN English Communication Ⅰ』で、そのストーリーを学んでいます。

今回ご縁があって、講演会を行っていただけることになり、「ホクレア」の用いる伝統航海術についてや、船上での生活、内野さんがホクレア号に乗ろうと思ったきっかけや、学生時代の夢などをお話しいただきました。

風を動力とし、風の力をマストで左右に振り分けて進んでいくホクレア。船を動かすために一番大事なものの一つであるスターコンパス(星の羅針盤)を使い、方角を見出すそうで、220くらいある星の上る位置が羅針盤の目盛りの位置を教えてくれるそうです。星が見えないときは、太陽や月などの大きな惑星や、雲の動き、風の変化、空や海の色などをヒントにするそうです。また、海鳥など海の生き物が自分たちのいる場所を教えてくれたり、波のうねりのパターンを体感で調べながら方角を見出したりするということです。

映画『モアナと伝説の海』にも出てくる手をかざす仕草は、水平線近くの星の角度を測っている

大学在学中にホクレアの物語を読み、ハワイには、人と自然の文化が色濃く残っている場所ということを知った内野さん。ハワイ大学で海洋生態学を学ぶ決意をし、大学に通いながら、星の読み方や伝統公開術を学び、ホクレアのクルーの一人に選ばれたそうです。ホクレアは、ハワイでは誰もが知っているそうで、ディズニー映画『モアナと伝説の海』も、ホクレアをモデルに作られているそうです。内野さん自身、本や映画でしか知らなかったホクレアに乗れるということは、最初は夢のようだったということ。ハワイ~日本航海をはじめ、数多くの航海に参加し、現在は2002年から2026年にかけ、環太平洋の46の国と群島、345港をめぐる41,000マイルの航海に向けて準備をされています。世界中を航海しながら環境保全や文化伝承などのメッセージを伝えるホクレア。私たちもクルーの一員になった気持ちになりながら、お話をお聞ききしました。

「自分が一番気になることや惹かれることを、どんどん追求していってほしい」

お話の最後に、内野さんから生徒たちへメッセージをいただきました。

「3年生など、今進路に迷っている人もいるかもしれませんが、それぞれの人に、一番大事なフィールドは必ず用意されています。それが一体何なのかは、今の自分には想像もできないですし、私もこんなふうに海を渡り、皆さんの前で話すことになることは、高校生の時には想像していませんでした。でも、なんか面白そう、よくわからないけど心が惹かれるというものに、常にアンテナを立てていることが大切です。そこにたどり着いた時、また次のドアがまた開いていくという感じで、全部は見せてもらえないかもしれません。ただ、そのことに全然不安になる必要はありません。これからどうなるかわからないとか、不安な気持ちがあったとしても、それは誰しもが抱くことです。それを抱いてはいけないのだと思うのではなく、それはそれで持ちつつ、でもその中で、自分が一番気になることや惹かれることを、どんどん追求していってほしいです。そうすると、今の皆さんが想像もしていなかったすごい世界が、どんどんどんどん広がっていくと思います。自分の心が動くセンサーみたいなものを、すごくこれから大切にしてほしいと思います。」

内野さんと生徒のQ&A

Q:「航海に出る前にどんな準備をして、どんな心構えをもって航海に出ているのか」

A:物理的な準備もたくさんあるが、心構えが本当に大切。最初はとても憧れていたホクレアだが、その心構えのままでは、最初は辛くて諦めたくなった。5ヶ月の航海で、キャプテンに何のために乗るのか何回も聞かれ、何のためにやるのか、自分と静かに向き合って考えた。自分のためにやるのではなく、自分がやることで何かの橋渡しになっていると自覚した瞬間、その後どんなに辛いことがあっても、辛さは全くなくなり、どんどん内側から力が湧いてきた。

Q:「ホクレアのクルーの男女比は」

A:半々くらい。ハワイでも若い人がどんどんホクレアに参加していて、女の子もたくさんトレーニングに参加し、次世代のリーダーとして活躍している。力をたくさん使うイメージがあると思うが、相手が大自然なので、力では到底勝てない。女性の力でも十分操作ができるようなカヌーの構造になっている。

Q:「食費など航海にかかる費用はどうしているのか」

A:ホクレアのクルーは、皆ボランティアで参加している。食べ物や材料など、航海に必要な費用をファンドレイジングで集めている。ホクレアの航海に共感してくれる方がたくさんいて、いろいろな場所でドネーションをしてくれる人や、スポンサーになってくれるがいる。NPOのPolynesian Voyaging Societyが色々なところからスポンサーを集めながら運営をしている。

講演後、生徒たちに感想を寄せてもらいました。

一人ひとりが違った観点から学ぶことが多かったようです。

内野さんの言葉に

「これからどうなるかわからないとか、不安な気持ちがあったとしても、それは誰しもが抱くことです。」

というものがありました。
壁にぶつかると、ついそこで立ち止まってしまいがちですが、国際キャリアコースの生徒たちの様子や感想を見ていると、力強く前へ進んでいく意識が感じられます。

内野 加奈子さん、この度は貴重なお話を本当にありがとうございました!