エトワールニュース

Etoile News
学校生活

【マルチメディア表現コース】四国・倉敷・神戸修学旅行_前編

10月25日(火)~28日(金)の3泊4日の日程で、マルチメディア表現コースは3年ぶりとなる修学旅行として、徳島・香川(直島)・岡山(倉敷)・兵庫(神戸)を訪問しています。

【10月25日(火) 1日目】

修学旅行初日は羽田空港から約1時間のフライトで徳島県に来ました。

マルチメディア表現コースの修学旅行は、感性を磨くことを一番の目標としています。そこで1日目は鳴門海峡にほど近い「大塚国際美術館」を訪れました。

この美術館には世界26カ国の西洋名画が約1000点、陶板に原寸大で再現されています。鑑賞ルートが約4キロもある国内有数の巨大な美術館です。

館内には所狭しと名画が並び、西洋美術の教科書に載っている作品がそのまま現実の世界に飛び出してきたような世界観となっています。

中でも高さ20メートルの天井画を含めたテニスコート3面分にわたるミケランジェロの作品『システィーナ礼拝堂天井画と壁画』を原寸大で再現した作品は、ヴァチカンから空間が転移してきたような錯覚さえ覚える迫力でした。

他にも『岩窟の聖母』(レオナルド・ダ・ヴィンチ)、『民衆を導く自由の女神』(ドラクロワ)『ゲルニカ』(パブロ・ピカソ)など眼前に迫る数々の名画の繊細さと力強さに圧倒される時間でした。

美術館初代館長の大塚正士さんの言葉に「学生にはこの美術館の作品を見て、将来、現地で実物を見てもらいたい。そのようなきっかけの場としたい」とあります。

例年であれば海外の修学旅行が実施され、子どもたちにはナショナルギャラリーなどで『ヒマワリ』(ゴッホ)などの実物を実際に鑑賞できるチャンスもあったかも知れません。しかし、今回の訪問と鑑賞が次の感性を磨く旅へのきっかけになれば、高校2年生のこの時期に実施している私たちの修学旅行は大成功と言えます。

大塚国際美術館をじっくり回った後はバスで少し移動し、「NFT鳴門美術館」を訪問しました。小さな美術館ですが、デジタル作品を美術品として扱うことをモットーに2021年に生まれ変わったこの美術館は日本初のNFT美術館です

NFTとは(外部リンク NFT鳴門美術館)

普段、授業でデジタル作品を創作しているコース生たちにとって、自分たちの作品と市場の近さ、そして自分たちの作品の持つ可能性と価値について考えさせられる展示でした。

明日は香川県に移動し、「アートの島」として評価されている直島を訪れる予定です。

10月26日(水)旅行2日目

修学旅行2日目は「アートの島」として知られる直島(香川県)での散策を1日楽しむ日でした。

直島はベネッセアートサイト直島というアートプロジェクトを展開しており、直島の自然、そこに住む人々、時間すべてがつながりを持っていること、そして未来につながっていくことを島全体で表現しています。

フェリーで瀬戸内の風と潮の香を感じながら島に到着後、グループに分かれて島内をめぐりました。

【李禹煥美術館】

現代美術と島の自然を活かした建築デザインが融合した美術館です。館内は射しこむ光と直島の石、そしてコンクリートや鉄板が見事に調和し、静かな時間を感じさせてくれます。

生徒たちは難解な現代アートに戸惑いながらも、何か感じ取ろうと五感を澄ましている様子で、無理に答えを出そうとはせず「なんか、、、良かった」という意見も多く出ました。

屋外では光と影、風を感じながら海を背景に巨大なランドスケープ作品を鑑賞することができました。

【ベネッセハウスミュージアム】

李禹煥美術館と同じく建築家の安藤忠雄さんがデザインした美術館でホテルも併設されています。島の高台に位置し、景観が損なわれないよう半地下を活用した構造となっており、直島の自然を直接生かした建築デザインといえます。

こちらの美術館で印象的であったのは屋外に展示された杉本博司氏の「タイム・エクスポーズド」(1980-97)。「海景」シリーズと称されるこの作品は海とその潮風や雨にさらされ風化していく絵画とが対比され、更にそこに佇む生徒たちの姿が相まって、鑑賞者を含めて「時の流れ」が表現されているのだと感じさせます。

生徒たちの表情は一様に柔らかで、東京で催される大きな企画展を鑑賞する時の緊張感はなく、とてもリラックスしてアートを楽しんでいる様子が多く見られました。

【本村エリア散策】

本村地区は江戸時代の情緒を感じさせる古民家をリノベーションするアートプロジェクト「家プロジェクト」をはじめ、地区全体がアートとして成立している区画です。午後はこの本村エリアを自由散策としました。

散策中は風情ある細道を楽しみ、ソフトクリームをおいしそうに食べる生徒たちの姿も見られました。

散策の時間は十分とは言えませんでしたが、修学旅行前に実施できた島のガイドさんによる事前学習ガイダンスの甲斐あってか、生徒たちは効率よく散策し、お土産までしっかりと買い込んで2日目の帰路につきました。

町の中心部にはプロジェクトはじまりの場所である「角屋」があり、今でも空間が島民の方々の「時」を「カウント」しています。この直島ではアートを通じて「つながり」や「関係性」、そして日本の自然と生活が蓄積してきた時間を感じることができ、日本人の表現者の卵であるコース生たちにはとても有意義な時間となったはずです。

明日は岡山県の倉敷にて『受胎告知』で知られる大原美術館と倉敷の街並み散策、体験アクティビティで感性を磨きます。